健康、お金、仕事、友人・家族・上司・恋人、将来のことなど、わたしたちの悩みは尽きることがありません。
ですが、そもそも何に思い悩んでいるのでしょうか?
ずばり、「関係」に悩んでいるのです。新しい上司とどうやって関わっていけばいいのか分からない、いつも否定的なことしか言わない義理の母とどう付き合っていけばいいのか分からない、子供が巣立った後に夫とどう向き合って暮らせばいいのか分からない・・・。皆、どうしたら「良い関係」が築けるのか、に思い悩んでいるのです。
「関係」とは、2つ以上の物や人が互いに関わりあうことをいいます。ですが、「関係」は絶対的なものでも、自分ではどうにもならないものでもありません。なぜなら「関係」は
1.「相手」が自分のことをどう思っている、と自分が思っているか
2.自分が「相手・対象」をどう思っているか
3.「相手・対象」との関わりの中で、自分が自分のことをどう思っているか
の、3つの要素で成り立っているからです。
「関係」は相手・対象(相手がどういう態度で自分に接しているか、いくら貯金があるか、など)によって左右されるのではなく、自分の心で決まるのです。つまり、「相手・対象」と「自分」のあいだに必ず「自分の考え」があり、まずはそこに気づくことが大切なのです。
では、どうすれば、より良い関係を築くことができるのでしょうか?
良い関係を築くための3つのヒント
①相手・対象に期待することをやめる
・こんなに一生懸命頑張っているのに、どうして認めてくれないの!(→感謝や労いの言葉をかけるべきだ!)
・1週間も連絡をくれないなんて、私のことはもうどうでもいいのかもしれない・・・(→恋人ならいつも気にかけるべき!)
相手・対象に「ああしてほしい」「こうすべき」と望んでも、期待した反応を得ることもあれば、思い通りにならなくてガッカリすることもあるでしょう。ですが、ここで確実に言えることは、相手・対象はコントロールできません。むしろ、相手の反応ばかり気に掛けるということは、相手・対象が自分をコントロールしていることになるのです。そして、相手が自分の期待に反した時には、期待と現実のギャップにばかり目が向くようになり、決して良い方向には進みません。
では、どうしたらよい関係を築くことができるのでしょうか?それは・・・
②相手・対象とどういう関係を持ちたいか、そして、そのために何をすべきかを自ら意識的に選択することです。
私たちは自分のことは100%コントロールできるのです。
相手と自分との関係がギクシャクしていると感じたら、どうしたら、お互いの気持ちを理解できるだろう?自分からは何ができるだろう?と考えて行動を起こすことは、いつでも、今すぐにでもできることです。
私事ですが、亡き父が胃癌術後、食道に癌が転移して放射線治療を終えた頃に父・私と医師の間に小さな溝を感じました。父は食事をとることに不自由を感じており、その旨を伝えましたが、医師は高カロリー栄養剤で栄養補給すれば何の問題もないと答えました。医師は身体全体を診て、今後の治療に焦点をあてて話をすすめていましたが、父は日常生活でおこる不自由の解消を求めており、お互いに見ている方向が違うことに気が付きました。
ここで、医師がこちらの気持ちを理解してくれない、と責めることもできますが、それでは何も解決できません。そこで父・私は今、自分たちは何を求めているか(ただ栄養補給のために食事をとるのではなく、食道が使えるうちは、食べ物の触感を日々楽しんでいきたい)、そのためにはどうしたらいいのか、医師としてのアドバイスをいただきたいと伝えました。
もちろん、医師にも、父・私にも、出来ることと出来ないことはあります。ですが、少なくとも、医師に全てをゆだねるのではなく、自分たちが求めているものを明確にし、相手に伝えること、それがより良い関係を築く第一歩だと思います。
③自分も相手・対象もありのままに受け入れる
自分も相手を自分というフィルター・色眼鏡で見ているのであれば、相手も自分のことをその人のフィルター・色眼鏡でみているのです。自分も相手を誤解することもあれば、相手も自分を誤解することもある。ですが、それでOKなのです。
自分自身がどのような「関係」を築いていきたいか、が問題なのです。なぜなら、「良い関係」か「悪い関係」かは、自分の心と意識の持ち方で決まるのですから。