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シングルライフ・親から学ぶこと

あなたは親のことをどれくらい知っていますか?

先日、エッセイスト・如月サラさんの著書『父がひとりで死んでいた』を読みました。

一人っ子の如月さんは20代で地方から上京し、編集者として長年働いて

この本の執筆当時は離婚歴あり・子供なしの50代シングルだったそうです。

このエッセイでは離れて暮らす父が孤独死していたと親族の方から連絡があったことからはじまって

お父様が亡くなった後の手続きや認知症のお母様の施設探し、

そして空き家になってしまった実家の管理などのために、東京と実家を往復した日々と

その当時の気持ちを綴っていました。


親にもしもがあった時に、親の現金や通帳はどこにあるのか

電気ガスなどの支払いはどうなってるのか、家の名義人は誰かとか

もしくは意識が無い状態であれば、治療方針やこれからの介護や延命のことなど

本人の意志は何なのか?

親が元気な時にはまだまだ先の話と思ったり

聞いたら聞いたで気まずくなるのも嫌で・・・と、こちらから

親のことを知ろうとするのをずるずると先延ばしにしまっていることもありますよね。


考えてみたらシングル・子なしである私たちは

自分のことを何も知らなかったと振り返ってくれる人は、いない「かも」しれないし

いないことも想定しておかないといけないんですよね。

でも、何もこれは自分が親の年齢になってからの話ではなくて

今も考えておく必要はあるのではないかなと思います。

ワタクシも、40代で乳がんと診断された時に

「自分のことも何も知らなかった」といったことに気づかされました。

病気になっても、健康でも、どちらであっても

自分がどんな人生を生きたいのか?何に喜びを感じるのか?

そのために今、そして10年20年後までに何をしたらいいのか?

どんな準備を今からはじめたらいいのか?など

あまりにも「自分のこと」「自分のためのこと」を考えていなかったと。

親から何を学ぶか?

シングルライフには、自由に生きる心地よさがあります。

でも、人はひとりでは生きられない。

パートナーや子どもはいなくても、お互いに気遣ったり、支え合う相手は必要です。

シングルこそ、歳を重ねていく自分のために

心地よい人との距離や付き合い方を意識的に築いていくことが大切だと思います。

そこで、まずは親をとおして心地よい人とのつながり方を学んでいく。

そして、親との付き合いをとおして親を知り、自分のことを知る。

そんなことをしてみてはいかがでしょうか。

たとえ今までの親子関係が悪かったり、親が変わらなくても

自分は変わっていく。関係を変える一歩を踏み出す。

そこから得られる気づきや学びは、必ずあるはずです。

相手を理解することの難しさ

ジャーナリストのマルコム・グラッドウェルさんが

トーキング・トゥ・ストレンジャーズ ~「よく知らない人」について私たちが知っておくべきこと~

という本の中で、良く知らない相手を理解することの難しさについて書かれていました。

・私たちは、よく知らない相手とどう話をすればいいのかを知らない。

・相手との関係がうまくいかない時に、よく知らない相手のせいにする

のだと。

グラッドウェルさんは「よく知らない相手」と言っていますが

自分がよく知っている人、たとえば

家族、親兄弟、パートナー、子供、友達、ご近所さん、職場の仲間に対しても

自分が知らないこと、分からないことに対して

同じことをしてしまうことがあるのではないか。

特に、言い合いになった時に、自分と異なる言動をする相手に対して

つい「自分は正しい。だから、相手は間違っている」となってしまうことってありませんか?

でもそうではなくて、「自分も正しいし、相手も正しい」と捉えることで

対話がはじまって、お互いに信頼し、心を開いた関係を築けるのではないのでしょうか。

親との会話の中でも

親の目線からだと、親が正しい。自分の目線だと自分が正しい。

でも親も自分もそれぞれの目線からみると正しいのではないか?といった両方の視点を持つこと。

そこから、何をいま選択していくのがベストなのかなと考えることが大切なのかなと思います。

胃癌ステージ4であった、父との関係で気づいたこと

ワタクシごとですが、父が癌のステージ4と告知されてから亡くなるまでの2年3か月のあいだ

通院の付き添いからはじまり、入院時はほぼ毎日お見舞いに行ったり

その都度、父が望む治療や悩みごとの解決など、父の話を聞いてきた「つもり」ですが

そうではなかった、と気づかされたことがありました。

父のことを思って、あれは食べない方がいい、こうしたほうがいいと

ついあれこれ言ってしまうワタクシ。

そして父が癌の告知をされる3か月前に、緩和病棟で亡くなった祖母の話ばかりをする母。

すると、父が

「なんで、死んだ人と俺を比べるんだ?その人の話ばかりするんだ?」

「自分はもう死ぬってことか?すぐに死ぬと思っているのか?」

と力の出ない声ではありますが、怒りはじめたんです。

父は生きようとして、毎日生きていた。

父のフォーカスは「生」、生きることに向かっていきていたのに

私たちといったら、なるべく「死」へのリスクがないよう、そればかりに意識が向いて

真逆の方向で父の人生を見ていたのです。

人は思い込みで相手のことを判断してしまう。

だから、より気をつけていかなければと私と母は

食事はどうしろ、生活はこうしろとアドバイスをしたり、父の考え方を批判するのではなく

たとえば、カップラーメンを一口でも食べたいなといった時に

あんな体に悪いものはダメ!と頭ごなしに言わずに

まずは、ただ父の今の気持ちを考えを聞いていこうと

一つ一つ、行動を変えていきました。

だからといって、父のことがすべて分かったというわけではありません。

父のことが一番わかるのは父です。

でも、一人では生きられない人間はこうやって

一歩一歩お互いを知ろうとすることは大事なのではないでしょうか。


いまは高齢になった親ですが、その親がいなくなる時とは

シングルにとって当たり前の存在だった、自分を想う人、自分を知る人がいなくなる時でもあります。

親が元気でいる今こそ、迷わず親と連絡を取り合ってみてはいかがですか。

親を知ることで自分を知ることができ

これからのシングルライフを生きるヒントをたくさん学ぶことができますよ。


「シングルライフ・親から学ぶこと」について音声で聴きたい方はこちらから(ポッドキャストEP #75 シングル50代。いま、親から学ぶべきこと)。当ウェブサイトの「ポッドキャスト」でもお聴きになれます。


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